大阪市交通局66系電車(おおさかしこうつうきょく66けいでんしゃ)は、1990年平成2年)に登場した大阪市交通局の高速電気軌道(大阪市営地下鉄堺筋線用の通勤形電車

概要

従来堺筋線で使用されていた60系は非冷房であり、後付け改造で冷房装置の設置が行われたが、一部に留まった。このため、非冷房で残された60系の置き換えと、内装および乗客サービスの向上を目的として導入されたのが本形式である[2]。製造メーカーは川崎重工業近畿車輛の2社である。

第01編成から1992年(平成4年)落成の第05編成までは6両編成で製造された[1]。1992年から1993年(平成5年)にかけて、中間車の66100形と66700形が組み込まれ、8両編成化された[1]。1993年(平成5年)に第06編成から第08編成までの3本が、1994年(平成6年)に第09編成から第12編成までの4本が8両編成で製造され、合計で8両編成×12本(96両)となった。この時点で60系非冷房車は全廃となり、増備は一旦終了した。

2002年(平成14年)からは老朽化した60系冷房改造車の置き換えを目的として、内外装や制御機器類にマイナーチェンジを行った6・7次車(第13 - 17編成)8両編成×5本(40両)が増備され、堺筋線所属車は全て66系で統一された[3][1]

車両概説

車体

オールステンレス製の無塗装車体で、窓上に茶色、腰部に上から橙色色、茶色の細い帯が入れられている。側面の窓配置は60系を踏襲したドア間3枚・車端部に1枚(中間車の場合)[注 1]であるが、形状は60系の角ばった2段式から、同時期に製造された新20系と類似した、角が丸みを帯びた1枚下降式に変更された。

前面は60系の切妻形状から、窓が大きく傾斜がつけられたものに変化した。帯は窓下と尾灯・標識灯の間に入り、それより上は黒色に塗装されている。上部中央に前照灯2灯が、その左隣に行先表示器が、右隣にVVVFインバータ制御車であることを示す「VVVF 66 SERIES CAR」のシンボルマーク(新20系のものとは図案が異なる)が配置された[1]。また、窓下の帯部分には角型で、外側が尾灯・内側が標識灯となった灯具ユニットが2組設置された[1]。灯具配置は直通先の阪急車と同様である。

6次車
(2006年7月22日)

6・7次車は若干の仕様変更が行われた[4]。従来金属塗装だった窓上部は従来より拡大された曲面ガラスで覆われ、側面上部の帯は茶色単色から、茶帯の下側に白色の細帯が追加されたツートンに変更された[4][1]バリアフリー高度化のため、台車空気ばねを改良することで床面高さが従来の1,190㎜から1,150㎜へ低減された[4][3]。また、屋根上のクーラー外カバーがFRP製からステンレス製に変更され、側面ルーバー形状も変更された。使用する冷媒代替フロンとしたほか、室内の送風機には強弱機能を追加することで快適性を向上させた[3]。また、第14編成以降は、13編成から前面上部と運転台に微妙な違いが見られる。従来終着駅名のみの表示であった行先表示幕は、列車種別が併記されたものとなった[5][3]。既存編成についても種別表示入りに順次交換された。

1999年(平成11年)1月から車端への転落防止幌の取り付けが進められ、2000年(平成12年)10月までに全車施工が完了した[3]

内装

第12編成以前は座席モケットはローズ色、ドア開閉時には開時と閉時で音程が違うブザー音が鳴る仕様であった。第03編成以降は各車両に1か所ずつ車椅子スペースが設けられ、従来車にも1999年に設置された[1]

堺筋線用の車内自動放送装置を搭載しているが、第01編成・第02編成には新造当初は非搭載であった。

6・7次車は交通バリアフリー法が施行されたことに伴い、LED車内案内表示装置が車内扉上に千鳥配置され[5][3]、ブザーはドアチャイムに変更され、ドア開閉時にドアチャイムとリンクして点滅する扉開閉予告灯が設置される(現在は前期車にも設置済み)など、バリアフリー化が図られたものとなった[5][3]。客室案内表示器搭載車で案内表示がない箇所にも、ドアの開閉を知らせる(こちら側・反対側)ランプがある[5][3]。また、乗り入れ先の阪急線内でも、開閉案内が一部の駅(待避可能駅・終着駅)を除いて行われている。車椅子スペース部には非常通報装置が追加設置された[5][3]

座席はバケットシートに変更され[4]、1人あたりの座席幅が440 mmから470 mm(車端部は450 mm)に拡大された[4]分、着席人数が減った(10人→9人)[5][3]。座席モケットは茶系のものになった。座席上部の荷棚も金網からステンレス製のパイプ式のものに変更され、ドア間の座席中央には荷棚から座席下部にかけてスタンションポール(握り棒)が1本ずつ設置された。第12編成以前も張替えによって第13編成以降風の茶系の座席モケットとなっている。安全性向上としてつり革の設置範囲を出入口横まで拡大し、1両当たりの設置数を10 - 12個増やした[5][3]

機器類

堺筋線初のVVVFインバータ制御車で、装置の素子は第12編成までは日立製作所製および同社からライセンス供与を受けて東芝三菱電機が製造したGTOサイリスタ(4500 V/2000 A)[注 2]、6・7次車は東芝と三菱電機がそれぞれ設計・製造するIGBT(3300 V/1200 A)が採用された[4][3]。6・7次車はベクトル制御、純電気ブレーキに対応している[3]

台車は大阪市営地下鉄では初めてボルスタレス式が採用された[6]。6・7次車では車輪の変形防止として、両先頭車に滑走を防止する滑走防止装置が設置された[3]

更新工事

リニューアルされた66605F
(2013年1月26日)

2012年(平成24年)6月から第05編成がアルナ車両で以下の改造工事を施工され[7][8]、2013年(平成25年)2月1日より営業運転に復帰した[9]。改造内容は以下のとおりである。

  • スカートの取り付け。
  • 識別灯・尾灯をLED式に交換。
  • 行先表示器を30000系と同様のフルカラーLEDに変更(準急などの優等種別や「嵐山」「河原町」なども表示可能、2018年(平成30年)度施工車からは側面の行先表示を駅ナンバリング記号も記載された表示に変更)。
  • 前面のVVVFマークを撤去し、車両番号表示をVVVFマークのあった位置へ移動。
  • 30000系や新20系改造車に準じたグラデーションの帯が採用された(カラーリングは茶→オレンジ)。
  • シート端のポールの2本化、床面配色の変更、バケットシートの採用など、30000系に準じた車内となった。
  • VVVFインバータ装置と補助電源装置(SIV)のASSY交換を実施、いずれもIGBT素子を使用したものである。
  • 種別表示設定機器に阪急京都線内の全種別を追加。行先表示設定機器に高槻市駅から先の「長岡天神」「」「河原町」「嵐山」を追加。
  • 車内照明のLED化(2014年(平成26年)度以降の施工車)。

2015年(平成27年)11月に更新された第01編成以降は堺筋線沿線にある天王寺動物園をモチーフに内装のデザイン変更(乗降扉および連結部の扉に動物柄のステッカー、ガラス部分に動物のイラスト)が施されている[10][11]

2018年(平成30年)11月にリニューアルされた第07編成は、変更後の内装デザインが今宮戎神社堀川戎神社にちなんだえびすをモチーフとしたものとなっている[12]

なお、新20系では2014年(平成26年)度以降、更新工事に車内案内表示器のLCD化および開扉時の盲導鈴鳴動機能追加が実施されているが、66系は2014年(平成26年)度以降の施工車でもこれらの工事は実施されていない。

運用

堺筋線および直通運転先の阪急電鉄千里線の全線および京都本線淡路駅 - 高槻市駅間で運用されている。

2009年(平成21年)12月5日・6日には堺筋線と阪急京都線との相互直通運転開始40周年を記念し、阪急嵐山線への臨時直通列車が天下茶屋駅 - 嵐山駅間で各日1往復運転された。この臨時列車には第01編成が6両編成に減車の上充当された[13][14]。また2011年(平成23年)5月14日・15日には直通特急として天下茶屋と嵐山の間で各日1往復で運行され、この時は第07編成が6両編成に減車の上で充当された[15][16]

2018年(平成30年)2月2日から3月31日まで、第07編成の4号車(66707号車)の車体側面に、NHK連続テレビ小説わろてんか』のラッピングが実施された[17][18][19]

2019年(令和元年)には相互直通運転開始50周年のイベント列車として第07編成が桂駅まで運転された[20]

編成表

2024年(令和6年)4月1日現在[21]

  • 車両番号の付番体系は新20系に準じている。すなわち、万の位の「6」と千の位の「6[注 3]」で系列名を表し、百の位で車両形式、十と一の位で製造番号(編成番号と一致)を表す。
  • 両制御車の運転台側は自動連結器、4 - 5両目の連結器は密着連結器、それ以外は半永久連結器が搭載されている。
  • 「e」は蓄電池搭載車を表す、大阪市交通局独自の記号。
天下茶屋
天神橋筋六丁目(北千里・高槻市)
形式
66600
(Tec1)
 
 
 

66000
(Ma1)
[注 4]

66100
(Mb1)
[注 5]

66700
(Tp')
[注 6]

66800
(T)
[注 7]

66300
(Mb2)
 
 
 

66200
(Ma2)
 

66900
(Tec2)
 
竣工
(8両化中間車)
製造 更新工事
(内装)
VVVV制御方式 備考
搭載機器 SIV
CP
VVVFVVVFCPVVVFVVVFSIV
CP
車両番号 6660166001661016670166801663016620166901 1990/04/05
(1993/07/06)
川重2015/11/18
(動物柄)
GTO

IGBT
6660266002661026670266802663026620266902 1991/05/30
(1993/07/13)
2013/12/26
6660366003661036670366803663036620366903 1992/04/16
(1992/11/19)
2014/12/05
6660466004661046670466804663046620466904 1992/05/28
(1993/02/02)
2016/10/07
(動物柄)
6660566005661056670566805663056620566905 1992/06/18
(1993/02/12)
2013/01/31
6660666006661066670666806663066620666906 1993/04/072017/11/01
(動物柄)
6660766007661076670766807663076620766907 1993/05/132018/11/16
(戎柄)
6660866008661086670866808663086620866908 1993/06/102019/11/25
(戎柄)
6660966009661096670966809663096620966909 1994/05/312021/03/15
(戎柄)
6661066010661106671066810663106621066910 1994/06/212022/05/12
(戎柄)
6661166011661116671166811663116621166911 1994/07/12近車2023/02/14
(戎柄)
6661266012661126671266812663126621266912 1994/08/032024/03/14
(戎柄)
6661366013661136671366813663136621366913 2002/06/24川重IGBT
6661466014661146671466814663146621466914 2003/02/07
6661566015661156671566815663156621566915 2003/03/07
6661666016661166671666816663166621666916 2003/10/08近車
6661766017667176671766817663176621766917 2003/11/06
凡例
  • 近車:近畿車輛
  • 川重:川崎重工業(現:川崎車両)
  • VVVF:制御装置
  • SIV:補助電源
  • CP:空気圧縮機
  • ◇:集電装置

脚注

注釈

  1. ドア間隔が均等になるように配慮(車両間では連結部が窓1枚分に相当)された設計が引き継がれたものの、ドア間3枚・車端部に2枚(中間車の場合)の阪急車両に比べて両端のドアが車端側に位置しているというずれも存置されることとなった。なおこの扉・窓配置は東京メトロ日比谷線などに類例がある。
  2. 磁励音は新20系より低めである。
  3. 投入線区の路線番号(堺筋線は6号線)に由来している。
  4. 6両編成では天神橋筋六丁目方の車端部に簡易運転台(営業時は扉の中に封印)が設置されていた。
  5. 6両編成には組み込まれていなかった。
  6. 天神橋筋六丁目方の車端部に簡易運転台が設置されている。6両編成には組み込まれていなかった。
  7. 天下茶屋方の車端部に簡易運転台が設置されている。

出典

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」2004年3月臨時増刊号「特集:大阪市交通局」pp.170- 172・182。
  2. 「新型車両プロフィールガイド 大阪市交通局 第6号線(堺筋線)66系車両改造」-『運転協会誌』2013年5月号(No.647)、日本鉄道運転協会
  3. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」2004年3月臨時増刊号「特集:大阪市交通局」pp.42 - 44。
  4. 1 2 3 4 5 6 「RAILWAY TOPICS/大阪市交堺筋線66系にマイナーチェンジ車登場」『鉄道ジャーナル』37巻3号、鉄道ジャーナル社、2003年3月1日、94頁。
  5. 1 2 3 4 5 6 7 この秋から堺筋線に新造車両が登場! - 大阪市交通局(2002年10月18日、2003年12月26日時点でのアーカイブ)
  6. SS120 SS020/大阪市交通局66系」-『鉄道ホビダス(資料館 台車近影)』、ネコ・パブリッシング(2007年2月28日)
  7. 大阪市交66系リフレッシュ改造車、阪急へ貸し出し」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2012年12月18日)
  8. 【大阪市】66系66605F 試運転実施」-『鉄道ホビダス(鉄道投稿情報局)』、ネコ・パブリッシング(2013年1月9日)
  9. 堺筋線 66系車両リフレッシュのご紹介 - 大阪市交通局(2013年1月24日、2013年2月27日時点でのアーカイブ)
  10. 楽しさをテーマに大阪・天王寺動物園にちなんだどうぶつたちがお客さまをお待ちしております! - 大阪市交通局(2015年11月22日時点でのアーカイブ)
  11. 車内デザイン一新!第2号!担当者が紹介します!堺筋線「どうぶつ」 - 大阪市交通局公式YouTube(2015年11月19日)
  12. 堺筋線66系車両車内デザイン変更のご紹介~沿線ゆかりの恵比寿様~ - Osaka Metro(2018年11月27日)
  13. 大阪市交66系,臨時直通列車で嵐山へ」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2009年12月7日)
  14. 【大阪市+阪急】大阪市交66系 臨時直通列車で嵐山へ」-『鉄道ホビダス(鉄道投稿情報局)』、ネコ・パブリッシング(2009年12月7日)
  15. 大阪市交66系、臨時直通特急で嵐山へ」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2011年5月15日)
  16. 【大阪市+阪急】天下茶屋―嵐山臨時直通特急運行」-『鉄道ホビダス(鉄道投稿情報局)』、ネコ・パブリッシング(2011年5月25日)
  17. わろてんかラッピング電車出発進行! - 大阪市交通局(2018年2月6日時点でのアーカイブ)
  18. 大阪市交通局66系に「わろてんか」ラッピング」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2018年2月3日)
  19. 【大阪市】66系「わろてんか」ラッピング車輌登場」-『鉄道ホビダス(鉄道投稿情報局)』、ネコ・パブリッシング(2018年2月6日)
  20. 堺筋線・阪急京都線の相互直通開始50周年記念列車運転」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2019年12月7日)
  21. ジェー・アール・アール『私鉄車両編成表2024』、P.168、交通新聞社(2024年7月11日、ISBN 978-4-330-03424-9

関連項目