ジャム: jam)は、果実などの加工品の一種[1]果物砂糖を加えて加熱濃縮し、果物中の水分を砂糖に置き換えるともに、ペクチンの作用によってゼリー化した食品である[2]。同様に野菜花弁を原料とするジャムもある[2]

フランスコンフィチュール: confiture)やドイツコンフィテューレ: Konfitüre[3]に相当するとされるが、ジャムとコンフィチュールとでは製法や食感に違いがあるという指摘もある[4][5](後述)。

概要

ブルーベリー、いちご、あんず、オレンジマーマレード、りんご

果実をそのまま、あるいは刻んだり裏ごしして、適量の砂糖とともに加熱したものである[1]。糖化防止や味覚上の観点から酒石酸クエン酸香料を加えることもある[1]。使用されるフルーツには、イチゴ[6]リンゴ[6]ブルーベリー[6]ラズベリー[6]プルーン[6]などがある。

もともとは砂糖漬けの保存食という性格を有する食品で、一時的に大量に収穫された果物を美味しく保存する方法として発展した[2]。ジャム(jam)という語は「グチャグチャかむ」という意味をもつ古い方言chamに由来し、jamには「押しつぶす」や「詰めこむ」といった訳がある[6]

広義のジャム類は、一般的にジャムマーマレード: marmalade)、ゼリー: jelly)の3種類に分けられる[2][6]。なお、マーマレードは英語では柑橘類の砂糖煮であるが、フランスでは砂糖が55%以下の果実の砂糖煮のことをいう[7](マーマレードはフランスやイタリアでは柑橘類に限られていない[1])。

ジャムのうち、果肉を全てつぶさずに原型が保つように加工したものをプレザーブ: preserve)という[1]。プリザーブスタイルと狭義のジャムを分け、すりつぶしたように均一化したものを狭義のジャムとする場合もある[8]

フランスのコンフィチュールに相当するものとされるが、厳密には製法や食感に違いがあるとされ、ジャムは果物を細かく刻んでその原型がなくなるまで砂糖とともによく煮詰めたもの[4][5]、コンフィチュールは大きめに切った果物を砂糖とともにゆっくりと煮たもの[4](あるいは果物を大きめの形状のまま煮詰めたシロップに漬けたもの[5])とされる。

トーストに塗る、ヨーグルトに混ぜる、アイスクリームにかけるといった食べ方をするほか、菓子類の副材料に利用される[8]

欧州のジャム

北欧諸国では果実が採れる時期に野生いちご、ラズベリー、カーラント(スグリ)類をジャムに加工して越冬食品とする風習がある[2]

ドイツではコンフィテューレンフェァオルドヌング(Konfitürenverordnung)という法令に定義と分類の規定がある[3]

ドイツにおける定義と分類
コンフィテューレ・エクストラ(Konfitüre extra)糖類と、単数あるいは複数種の濃縮されていない果肉と水からなる、塗ることができる加工品[3]
コンフィテューレ(Konfitüre)糖類と、単数あるいは複数種の果肉やピューレと水からなる、塗ることができる加工品[3]
ジェレー・エクストラ(Gelee extra)糖類、同様に単数あるいは複数種の果汁、水性の果物抽出液からなる、塗ることができる加工品[3]
ジェレー(Gelee)糖類、同様に単数あるいは複数種の果汁、水性の果物抽出液からなる、塗ることができる加工品[3]
マルメラーデ(Marmelade)水、糖類と単数あるいは複数種の柑橘類の果肉、果汁、水性の果物抽出液、果皮からなる、塗ることができる加工品[3]

日本のジャム

定義と名称

日本では日本農林規格(JAS)により、「ジャム類」の規格が以下のように定められている(2019年10月18日改定の JAS 0524)[9]。なお、「果実類」は「果実、野菜又は花弁」と定義されている。

日本農林規格
ジャム類次のいずれかのもの。
  • a) 果実等を砂糖類、糖アルコール又は蜂蜜とともにゼリー化するようになるまで加熱したもの。
  • b) a)に酒類、かんきつ類の果汁、ゲル化剤、酸味料、香料等を加えたもの。
マーマレードジャム類のうち、かんきつ類の果実を原料としたもので、かんきつ類の果皮を含んでいるもの。
ゼリージャム類のうち,果実等の搾汁を原料としたもの。
ジャムジャム類のうち、マーマレード及びゼリー以外のもの。
プレザーブスタイルジャムのうち,ベリー類(いちごを除く。)の果実を原料とするものにあっては全形の果実、いちごの果実を原料とするものにあっては全形又は2つ割りの果実、ベリー類以外の果実等を原料とするものにあっては5 mm以上の厚さの果肉等の片を原料とし、その原形を保持するようにしたもの。

歴史

  • 1910年 - 長野県三岡村(現在の小諸市)の塩川伊一郎がイチゴジャムを皇室に献上。後に日本ジャム工業組合が4月20日をジャムの日となった[10]

業界団体

  • 日本ジャム工業組合(にほんジャムこうぎょうくみあい、東京都千代田区神田東松下町10番地2、法人番号6010005002175[11]

脚注

注釈

出典

  1. 1 2 3 4 5 𠮷田 菊次郎「製菓における果汁との関わり」『日本食品科学工学会誌』第71巻第7号、日本食品科学工学会、2024年、259-267頁、doi:10.3136/nskkk.NSKKK-D-24-00012
  2. 1 2 3 4 5 川手浩司(日本ジャム工業組合事務局長) (2009年9月). ジャムと砂糖のはなし”. 農畜産業振興機構. 2026年4月1日閲覧。
  3. 1 2 3 4 5 6 7 【独逸見聞録】ジャム類の定義と分類 ~ジャム(其の壱)~”. 辻調グループ. 2026年4月1日閲覧。
  4. 1 2 3 ジャムとコンフィチュールの種類を解説製法から使い分けまで”. 日本安全食料料理協会. 2026年4月1日閲覧。
  5. 1 2 3 ジャムとコンフィチュールの違い!種類と特徴を徹底解説”. 日本インストラクター技術協会. 2026年4月1日閲覧。
  6. 1 2 3 4 5 6 7 ジャムの語源と起源”. 日本ジャム工業組合. 2026年4月1日閲覧。
  7. 家庭科 Let’s Try”. 東京都立六本木高等学校. 2026年4月1日閲覧。
  8. 1 2 ジャム(食品)”. 日本大百科全書(ニッポニカ). 2022年6月22日閲覧。
  9. 日本農林規格 JAS 0524:2019 ジャム類”. 農林水産省 (2019年10月18日). 2022年6月22日閲覧。
  10. 4月20日は「ジャムの日」”. アヲハタ. 2025年9月16日閲覧。
  11. 日本ジャム工業組合の情報”. 法人番号公表サイト. 国税庁 (2020年9月17日). 2022年9月5日閲覧。
  12. 日本ジャム工業組合組合員とホームページのご案内”. 日本ジャム工業組合. 2022年9月5日閲覧。

関連項目

外部リンク