エクアドル料理(エクアドルりょうり)は多様であり、高度やそれに伴う農業条件によって異なる。エクアドル料理は、スペイン料理インカ料理英語版アマゾン料理英語版の融合であり、わずかながらイタリア料理レバノン料理アフリカ料理中華料理の影響も受けている。沿岸地域では牛肉鶏肉シーフード(特にセビチェ)が人気であり[1]、通常はレンズ豆パスタ、またはプランテンを添えた炭水化物の豊富な食品と共に供される。山岳地域では豚肉、鶏肉、牛肉、そして「クイ」(テンジクネズミ)が人気で、米、トウモロコシ、またはジャガイモと共に供されることが多い。山岳地域の人気な屋台料理は「オルナード」で、ローストした豚にジャガイモを添えたものである。エクアドル料理全般の例としては、「パタコネス」(緑のプランテインをスライスして油で揚げ、潰してから再度揚げたもの)、「リャピンガチョス」(ジャガイモを団子状にして鉄板で焼いたもの)、セコ・デ・チボ英語版ヤギ肉のシチューの一種)などがある。新鮮な果物も豊富で、特に低地ではグラナディリャ英語版パッションフルーツナランヒリャ英語版、数種類のバナナウビジャ英語版タキソ英語版タマリロ(ツリートマト)などが手に入る。

南部の山岳地帯では食文化がやや異なり、ロハ県の典型的な料理として、緑のバナナで作るスープ「レペ」、ローストポークの「セシーナ」、デザートの「ミエル・コン・ケシージョ」(または「クアハダ」)などがある。熱帯雨林では、他地域でキャッサバと呼ばれる「ユカ」が主食である。この澱粉質の根は、皮を剥いて茹でる、揚げる、あるいは様々な料理に使用される。全国的にパンとしても利用され、ブラジルの「ポン・デ・ケージョ」に似た「パン・デ・ユカ英語版」が作られ、様々な種類の飲むヨーグルトと共に食されることが多い。この地域では、バナナ、ツリーグレープ英語版チョンタドゥーロなど多くの果物も手に入る。

典型的な食事

エンセボジャード英語版

エクアドルのほとんどの地域では、伝統的な3コース形式の食事が一般的である。メインディッシュには米またはパスタと、肉、家禽、豚、魚などのタンパク質が含まれる。その後、デザートとコーヒーを摂るのが習慣である。夕食は通常より軽く、コーヒーまたは「アグア・デ・レメディオ」(ハーブティー)とパンだけで済ませることもある。[2]

エクアドルはバナナとその料理だけでなく、ジャガイモ、パン、パスタ、米、ユカ(キャッサバ)といった澱粉製品の消費でも知られている。伝統的に、これらの食材のいずれかは、供されるスープまたはライスプレートのどちらかで見つけることができる。[3]

2023年の調査では、最も消費されているエクアドル料理は、エンセボジャード英語版セビチェオルナードである。[4] また、人口統計による細かな違いは見られたが、沿岸部と山岳部(ハイランド)の間での相関関係は低かった。

デザート

ヘラド・デ・パイラ(鍋で作るアイスクリーム)

アロス・コン・レチェ:スペイン発祥のデザートで、ラテンアメリカ全域で様々なバリエーションが見られる。現代のエクアドルの家庭やレストランで最も一般的なデザートの一つである。主に炊いた米、シナモンまたはナツメグ、レーズン、ミルクで構成される。

ヘラドス・デ・パイラ英語版:イバラ発祥のシャーベットのような特産品である。多くのフレーバーがあり、果汁、氷、砂糖、時には果物で作られる。伝統的に、氷の上に置かれた大きなブロンズまたは銅の鍋(パイラ)の中で、すべての材料を手作業で撹拌して作る。この冷たい菓子は、もともとインバブラ火山の頂上にある氷河の雪で作られたと言われている。ロサリア・スアレスが最初に氷を集めたと言われており、彼女の子孫は現在も伝統を守り、イバラでアイスクリーム店を経営している。[5]

プリスティニョスとブニュエロスは、エクアドルで人気のある、異なるが関連性のある揚げ菓子である。どちらも通常は温かい状態で供され、しばしば「ミエル・デ・パネラ」として知られる甘いパネラ(未精製の全糖)シロップがかけられる。プリスティニョスは、繊細でサクサクとしたリボン状や渦巻き状の形が特徴で、砂糖とシナモンがまぶされることが多い。一方、ブニュエロスは、柔らかく不揃いな形の揚げ菓子で、生地にチーズなどの材料を混ぜ込むこともあり、より食べ応えがあり、時には塩味と甘みが混ざった味わいになる。[6] これらはクリスマスや聖週間などの祝祭シーズンに特によく食べられるが、全国のベーカリーや伝統的な屋台で一年中購入可能である。

ブニュエロ

パネトン(パネットーネ):ドライフルーツの入った甘いパンの一種。1800年代後半に到着したイタリア移民によって広められた。通常、クリスマスの朝食にホットチョコレートと共に供される。以前は大きな箱に入った巨大なサイズのみであったが、現在は個人用サイズも販売されている。エクアドルのクリスマスは一年で最も暑い時期であるため、ホットチョコレートの代わりにコーヒーや冷たい飲み物を合わせることも多い。

フラン:透明なキャラメルソースがかかった人気のカスタードデザート。

アルファホール英語版:かつてのスペイン植民地のほぼすべてで見られるデザートである。植民地時代にスペインで人気だったものに由来するが、レシピは変更されている。基本のレシピは小麦粉、マーガリン、粉糖を混ぜてオーブンで焼く。アルファホーレスはこの焼き菓子を2層以上に重ね、通常はドゥルセ・デ・レチェ(ミルクと砂糖で作るキャラメル色の甘くクリーミーなフィリング)を挟む。

トゥローネス(ヌガー):これもスペイン発祥のデザートである。

飲料と飲み物

アグアルディエンテサトウキビベースの蒸留酒)は、おそらく最も人気のある国民的アルコールである。主要なブランドにはカニャ・マナバ、スムニール、カンタクラロ、パハロ・アスル、ノルテーニョ、トロピコ・セコなどがある。サトウキビが原料であるため、ラム酒も非常に人気があり、ラム・サン・ミゲルやロン・ポン・ポンといった地元ブランドがある。[7] キトの祝祭期間中には、アグアルディエンテから作られる「カネラソ英語版」が人気の飲み物となる。[8]

多くのフルーツフレーバーがある飲むヨーグルトは人気で、しばしば「パン・デ・ユカ」(キャッサバ粉で作った、熱々でモチモチしたパン)と共に消費される。伝統的なノンアルコール飲料の一つに、マチカ英語版(焙煎した大麦粉)、パネラ(未精製糖)、スパイスから作られるピノル英語版がある。[9] 別の伝統的なノンアルコール飲料はコラダ・モラーダ英語版で、黒トウモロコシ粉で作られ、パネラで甘みをつけ、新鮮な果物、ハーブ、スパイスで風味付けされる。[10]

フィオラヴァンティ英語版は、1878年にエクアドルで初めて販売されたフルーツフレーバーの炭酸飲料である。商業的に販売された最初のソフトドリンクの一つとして注目される。1991年にザ コカ・コーラ カンパニーによって買収された。[11]

グイティッグ(Güitig)は、水道水の代わりに好んで飲まれるほど全国で広く消費されている天然炭酸水である。[12]

影響

カトリック教会

キトで供されるエクアドルの伝統的なスープ、ファネスカ英語版復活祭の時期に食べられる。

地域ごとの料理のほか、特別な機会に消費される典型的なエクアドル料理がいくつかある。ファネスカ英語版は、数種類のレンズ豆トウモロコシを含む干しダラを用いた具だくさんのスープで、四旬節復活祭の期間によく食べられ、伝統的にエクアドル全土で供される。死者の記念日(万霊節)の前の週には、果物飲料のコラダ・モラーダが典型であり、子供の形をした詰め物入りのパン「グアグア・デ・パン」が添えられる。[13]

中国の影響

チーファ(中国語の「吃饭(チーファン)」、飯を食うという言葉に由来)は、エクアドル式中華料理(またはその融合レストラン)を指すエクアドルの用語である。多くの中国の食材はエクアドルで入手困難であったため、中国系住民は自国の料理を修正し、多くのエクアドル的要素(主にスペイン、先住民、アフリカ系)を料理に取り入れた。[14]

中東の影響

1875年以来、最初はオスマン帝国から、後に第一次・第二次世界大戦後にかけて、レバノンからの移民が絶えずエクアドルに流入している。1986年までに、エクアドルには97,500人のレバノン移民がいた。シャウルマ(シュワルマ)のレストランがますます人気を博しており、融合料理の別の例となっている。中東料理の食材の多くが国内で見つからないため、レバノン移民は現地の食材で代用を行ってきた。[15]

関連項目

参考文献

  1. Duarte-Casar, Rodrigo; Robalino-Vallejo, Jessica; Buzetta-Ricaurte, María Fernanda; Rojas-Le-Fort, Marlene (2022-05-12). “Toward a characterization of Ecuadorian ceviche: much more than shrimp”. Journal of Ethnic Foods 9 (1): 16. doi:10.1186/s42779-022-00131-w. ISSN 2352-6181.
  2. Handelsman, Michael (2000-03-30) (英語). Culture and Customs of Ecuador. Bloomsbury Publishing USA. pp. 50. ISBN 978-0-313-09585-6
  3. Barrera, Julio Pazos (2021-03-04) (スペイン語). Elogio de las cocinas tradicionales del Ecuador. Pontificia Universidad Católica del Ecuador. ISBN 978-9978-77-532-5
  4. Rojas-Le-Fort, Marlene; Valdivieso-López, Isabel Patricia; Duarte-Casar, Rodrigo (2023-11-13). “Representations of Ecuadorian cuisine in the coast and the highlands regions through the free listing technique” (英語). Discover Food 3 (1): 20. doi:10.1007/s44187-023-00061-9. ISSN 2731-4286.
  5. Auconsis (2025年1月8日). Helados de paila (スペイン語). Origenes Ecuador. 2025年7月22日閲覧。
  6. Kanellos, Nicolàs; Esteva-Fabregat, Claudia; Weaver, Thomas (1994-01-01) (英語). Handbook of Hispanic Cultures in the United States: Anthropology. Arte Publico Press. pp. 333. ISBN 978-1-61192-161-8
  7. Dikty, Alan S. (1999) (英語). The Beverage Testing Institute's Buying Guide to Spirits. Sterling Publishing Company. ISBN 978-0-8069-2865-4
  8. Stephenson, Marylee (2015-09-28) (英語). The Galapagos Islands and Ecuador: Your Essential Handbook for Exploring Darwin's Enchanted Islands. Mountaineers Books. ISBN 978-1-59485-918-2
  9. “Artesanos de 7 cantones expusieron en Salcedo”. El Telégrafo (スペイン語). 9 September 2014. 2015年11月5日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2015年10月14日閲覧.
  10. Smart!, Culture; Maddicks, Russell (2022-04-14) (英語). Ecuador - Culture Smart!: The Essential Guide to Customs & Culture. Kuperard. ISBN 978-1-78702-301-7
  11. Arosemena, Guillermo (1995) (スペイン語). La historia empresarial del Ecuador. G. Arosemena A.. pp. 262
  12. Orellana, J. Gonzalo (1948) (スペイン語). Resumen histórico del Ecuador: 1830-1930. Editorial "Fray Jodoco Ricke,". pp. 167
  13. Espinosa, María Cristina Carrillo (1996) (スペイン語). El sabor de la tradicion. Editorial Abya Yala. pp. 97. ISBN 978-9978-04-196-3
  14. Youman, Becky; Estep, Bryan (2000-05-01) (英語). Ecuador & Galapagos Guide. Open Road. ISBN 978-1-892975-34-8
  15. Pitts, Bethany (2019-11-05) (英語). Moon Ecuador & the Galápagos Islands. Avalon Publishing. ISBN 978-1-63121-718-0